神式でお墓を構える場合、入檀金・寄付金といったものは基本的に一切ありません。
継続的にかかわる管理費、という面ではメリットがあるでしょう。
ただ、葬儀自体の費用についてはそうとも言えません。
まず、一般的に世間の葬儀費用の相場がいくらぐらいなのか? 気になりますね。
まず前提として、葬儀費用の比較サイトなどでよく使われている、
日本消費者協会が発表した「葬儀についてのアンケート調査報告書」によると
2017年の第11回調査では葬儀費用平均 195万7000円 となっています。
などと紹介されていますが、この数字は当てになりません。
理由は簡単で、調査対象が少なすぎることと、何より2014年に調査した金額より上がる
という結果になったためです。
この数字を疑わずに紹介している比較サイトや葬儀社HPは、
葬儀費用の安さをより印象付けるための対象として紹介しているものと思います。
近年、家族葬や自由葬など簡略化、小規模化した葬儀が増えており、葬儀費用を抑える
傾向にあることを踏まえると、この平均金額は理解しがたい数字です。
→第11回「葬儀についてのアンケート調査」の結果が報道されない理由
結論としては、葬儀費用は十人十色。もし本当に正確な平均費用を出したとしても
参考にはなりません。
宗教か無宗教か、参列する人数は何人か、食事の内容は、などなど
様々なパターンがあるので、相場を考えて選ぶというのは無意味です。
自分の条件を定めたあと、その条件に従って各社を比較すればよいでしょう。
葬儀の種類は主に以下に分けられます。
家族葬
一般葬
一日葬
火葬式
そして、これに加えて以下の選択肢があります。
宗教はあるか
無宗教(自由葬)か
このほか、各葬儀社の独自プランがあったりするので、本当に十人十色です。
ではどうやって比較すればいいか。
考えた結果、最近よく耳にする以下の条件に合ったプランを選定し、
比較したいと思います。
条件
費用はなるべく抑えたい。
でも、無宗教は抵抗がある。
小規模でいい。(身内だけ+数人の親戚 10~30人程度)
葬儀はホール(会場)で。(自宅ではない)
食事のことは取りあえず後で考える。
その他、追加オプションなし。
※以下の順番はググるときに「葬儀社」という検索キーワードだけをいれて
表示された順に並べいます。おすすめ順などではありません。
内容がよくわからない、上記条件に見合うプランが想定できないところは外してます。
仏式 | 神式 | ||
イオンのお葬式 | プラン | 家族葬 | 表記なし |
費用 | 460,000円 | ||
セレモア | プラン | 家族葬 | 表記なし |
費用 | 498,000円 | ||
葬儀社アーバンフューネス | プラン | 家族葬+仏式 得割無し | 表記なし |
費用 | 460,200円 | ||
※祭壇の規模 最小で |
プラン | 家族葬 プラン25 | プラン35 |
費用 | 250,000円 | 350,000円 | |
※祭壇が独自の花の檀 |
プラン |
家族葬(シンプル) 会員割引なし |
表記なし |
費用 | 520,000円 | ||
新居浜葬儀社 | プラン |
シンプルプラン 一般価格 |
表記なし |
費用 | 500,000円 | ||
京都屋葬儀社 | プラン |
会館家族葬プラン 会員割引なし |
表記なし |
費用 | 340,000円 |
※税抜表示
残念ながら神式で明確に表記されているところはほどんどありませんでした。
仏式においては、相場的には50万円以下といったところでしょうか。
とてもお安い葬儀社については、おそらく祭壇が簡易的であると想定されます。
地域性もあるかと思います。
なお、ここで抑えていただきたいことは、上記の費用に
葬儀場(会場)・控室使用量の費用 含まれてません。(一部除く)
火葬場使用料・火葬料 含まれてません。
お布施・玉串料(お寺や神社へ納める費用) 含まれてません!
基本的にこれらは各社、別途料金です。
基本プラン外の料金です。
葬儀場(会場・ホール)については葬儀社お抱えのところもありますが、
多くはどこかのホールを借りるようになっていて、上記で並べたサイトのほとんどは
どのホールを選ぶかで費用が変わります。
調べる中で恐らく神式・仏式のどちらに
おいても、同じ条件下において
費用は大差ないと思います。
葬儀社としては用意する物が違うだけなので。(人件費も変わりませんし)
もし、差がでるとすれば 上記に記している お寺や神社に納める費用 になりますが、
この差も近年なくなってきていると言えます。
たしかに神社では戒名がありません。
そもそも戒名というのは「仏の弟子になった印」という意味合いなので、神社に弟子という概念自体がありません。
じゃあ戒名料がないから神式のほうが安いのではないかと、
ひと昔前は個人的にもそう思っていました。が、例えば以下の情報を見ると
お布施(お寺) | 玉串料(神社) | |
葬儀社アーバンフューネス |
17万円 通夜・告別式・初七日法要 僧侶の車代含む 僧侶の食事代含む |
17万円 通夜祭・葬場祭 神職の車代含む 神職の食事代含む |
イオンのお葬式 |
15万円 通夜・告別式・初七日法要 僧侶の車代・食事代 不明 |
不明 |
花葬儀 |
22万円 通夜・告別式・初七日法要 僧侶の車代含む 僧侶の食事代含む |
不明 |
まなか |
30万 通夜・告別式・初七日法要 僧侶の車代・食事代 不明 |
不明 |
※税抜表示
仏式は実はすべて戒名料を含んだ金額なんです。
(すべて最も位の低い戒名ですが)
1社以外は神式の費用が分かりませんが、個人的に神社へヒアリングしたところ、
神社の相場は10~30万程度でした。上記の金額と大差ないですね。
今はアマゾンまでサービスを提供し始めたお坊さん便という、ネットで安価にお坊さんを
注文?することができてしまうので、お布施の費用が暴落しています。
ですので、お布施と玉串料では差はなくなってきていると思われます。
ただし
ここで比較した葬儀社は価格競争激しいネット上での話です。
地元のお寺さんでは価格(お布施?)競争にさらされず、神式よりも高めな費用に
なっているところもあると思います。
故人が神様になられるお名前として、生前の氏名の後ろに
「諡(おくりな)」
というものを付けられるそうです。
氏名の後ろに
○○○○翁命(~おきなのみこと) や ○○○○大人命(~うしのみこと)
とつけます。
これは性別と、「老年」「成人」「青年」など亡くなられた時の年齢によって変わります。
例えば
「女性」で「青年」であれば ○○○○姫(~のひめ) という諡になり、
「男性」で「老年」であれば ○○○○翁命(~おきなのみこと)
という諡になります。
(山田太郎 という名であれば 山田太郎翁命 ですね)
この諡をつけるために別途費用はかかりません。
結局総額はどのくらいなの?
以下は実際にあった親族のみで行う
神葬祭の費用事例です。
・大人30人程度
・神職1人
・斎場はそれなりのホールを借りて
(コンビニの建物を改装して作ったような簡易の斎場とかではない)
・納棺→通夜→葬場祭(告別式にあたるもの)→火葬→埋葬(墓所へ)
→帰化祭→10日祭も合わせて行う(初七日にあたるもの)
総額 125万円
総額のうち半分程度が葬儀屋・火葬場・会場への支払い。
残り半分の中で、3分の1程度が直会(なおらい:食事2回分)と香典返し。
3分の2程度が神社へ支払う玉串料といった割合。
全体費用の半分程度を香典でまかない、60万程度を兄弟姉妹で出し合う。
といった感じだったそうです。
左の図は葬儀費用の内訳を簡略化したものです。
お分かりの通り、葬儀費用全体の中で
神社やお寺に支払う費用は一部にすぎません。
葬儀屋へは場所の提供、花、お社、配車、
神饌(お供えもの)、等の費用がかかり、
葬儀全体をどの程度の規模にするかによって
当然変わってきますが、仏式・神式での差は
ほとんどお布施・玉串料の部分のみとなります。
事前に調べる
以上の観点から結局のところ、
ご自身の環境にあった条件をある程度決めて
「その地域の相場を事前に調べる」 ことです。
3社比較程度で良いかと思います。
突然のご不幸では難しいことですが、下調べをしておくと慌てずに済みます。
お寺はどうかわかりませんが、個人的に神式で行うのであれば
「ここの神社でお願いしたい」
と決めておくと、なお良いです。
葬儀費用の相場はネット上からかき集めるとして、神社の相場についてはまず、
神社に神葬祭のことを教えてもらう目的で伺い、
↓
その際に「ちなみに~」といって
↓
神社の相場(玉串料)をお聞きになられてよいでしょう。普通に応えてくれますよ。
(うちはやってません。と言われるところもあるかと思いますが)
地域により詳しい神職の方でしたら、仏式含め地域の相場や慣例、
あるあるネタなど教えてもらえることも期待できるそうです。
大抵が病院で亡くなられる(というか確定される)と思います。
実は病院で長く遺体を預けられません。
そのため、遺体を安置できる場所に移さなければなりません。
それは基本的に葬儀社になります。
恐らく病院側から
「葬儀はいかがなされますか? 特になければ○○(葬儀屋)を紹介いたしますが」
など、あからさまに提携している感うかがえる言葉も普通にかけてこられます。
(体験談です)
もし自分で葬儀社を探すにしても、病院に安置しておくことはできませんから、
一旦病院と提携しているところにご遺体を預けられます。
その後、決めた葬儀社にご遺体を移す(あまり猶予はありませんが)ケースもあります。
病院の規模や経営方針によると思います。費用は掛かってませんでした。
このケースでは実際引き取られた葬儀屋では行わず、他の葬儀屋にしていますが、
ある地域で聞いた話によると
「先にご遺体を棺桶に入れた葬儀社があったら、他の葬儀社は手を出さないという
暗黙のルールがある」
らしいです。
何とも心情の悪いルールですが、彼らはあくまで商売ですので仕方がないんですかね。
急なことで、周りの言われるがままにことを進めて最後に請求書をみてビックリ!という
話も聞きますので、事前に調べておいて損はないでしょう。
損はない、と言いましたが、葬儀屋に直接見積りや連絡すると当然向こうは商売ですから
営業トークを絡めてくると思います。(会員になるとお得ですよ~ とか)
ある程度目安をつけておく という程度で良いかと思います。